- 2008-09-30
- 1分で分かる時事解説
その国の人々が食べている食料のうち、自分の国で作られている割合を「食料自給率」という。
最近は、「食料自給率が40%を切ってしまった」という議論がありますが、この食料自給率には様々な視点があります。
端的には、その計算方法で食料自給率が40~70%まで幅広く定義できてしまうということです。
食料自給率の計算方法は大きく3つあります。
- 食料の消費カロリーで計算する方法
- 生産金額で計算する方法
- 重量で計算する方法
40%を切ったという計算方法は1番目の消費カロリーで計算する方法です。
1.カロリーベースの食料自給率って?
通常「日本の食料自給率」と言っている場合は、カロリーベースの食料自給率(供給熱量総合食料自給率)を指しています。
食料というのは、生命と健康の維持に必要なものであり、その必要なエネルギーをどの程度自国でまかなっているかという視点です。
カロリーベースの食料自給率(平成18年度)=
(国民一人一日当たり国産熱量[996kcal])/国民一人一日当たり供給熱量[2,548kcal]×100=39(%)
分母の供給熱量というのは、1人が一日に食べる食料を品目ごとにカロリー計算して足したものです。
分子の国産熱量というのは、供給熱量に国産自給率をかけたもの。国産自給率は、全体のうち国産が占める割合。
鶏や豚肉のような家畜の場合には飼育の際に飼料が必要です。その肥料の自給率も計算するのがポイントです。
この割合をどう求めるかというのは、例をあげてみます。
豚肉の中で、国産豚の割合が50%だとします。また豚の飼料自給率が10%だとします。
すると、50%×10%=5%、これが国産自給率です。
2.生産金額ベースの食料自給率って?
同じコストでも、カロリーには差がでます。例えば果物とお米など。
ですので、カロリーベースで計算すると、その食料を生産するために使った費用や労働力を評価できません。
そこで、経済的な側面から注目する場合には、生産額ベースの食料自給率を使います。
生産額ベースの食料自給率(平成18年度)=
(食料の国内生産額 [10.2兆円])/食料の国内消費仕向量[14.9兆円]×100=68(%)
3.重量ベースの食料自給率
国内生産量、輸入量など、その食品の重さそのものを用いて計算した自給率の値を「重量ベース自給率」といいます。
特に国際比較には、価格など比較しづらいものもあり基礎的な食料に着目して、つまり品目を限定して、自給率計算をします。
以上のように、食料自給率には3つの視点で計算できるということがわかりました。
最初に書いたように、通常はカロリーベースを使うことが多いです。マスコミで報道される自給率も、このカロリーベースです。
■なぜカロリーベースの自給率がよく使われるのか?
この数字が非常に重要視されるには、それなりの理由があります。
食料が生命と健康の維持に欠くことのできない最も基礎的で重要な物資であることから、
その基礎的な栄養価であるエネルギー(カロリー)が国産でどれくらい確保できているかという国家の安全保障に密接に関わるからです。
食料自給率の数字は、国民の生命を維持できるか、という根底の問いに対して必要なデータですので
重さでもコストでもなく、カロリーが使われるということです。

(農林水産省HPより引用)
図をみればすぐ分かりますが、上述の3つの計算方法ではそれぞれ値が異なります。
しかしどのような、計算方法を採っても「下落傾向」にあることは間違いありません。
カロリーベースでは40%を切りますが、生産額ベースでは60%台です。
絶対値を見ると、本質を見誤る可能性もあります。
補足:
現在、報道等で頻繁に使われている「食料自給率」という考え方は、実は日本独自のものであり国際的に使用されていないことはあまり知られていない。国際的には「穀物自給率」という基準を用いることが一般的である。
だそうです。
つまり、カロリーベースという指標は、生命維持のための食料の確保の度合いというよりも、
現状の食生活を前提としているための度合いであるため、比較する意味は無いと。
より重要なのは主食である穀物なのだ、ということですね。
次回は、「食料自給率は下がっているけど、ダメなの?」です。
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